SSブログ

本を一冊読み終わりました。 [雑記]

 飯嶋和一の〝星夜航行〟です。

 豊臣秀吉が朝鮮、明国に出兵した頃の、戦国時代の物語です。

 関白秀吉の尽きることのない野望と妄想に引きずられるように、戦国大名が功を争って朝鮮半島に出て行く有様が詳細に描き出されています。またこの兵を迎え撃つ朝鮮と明国の将軍たちが一人ひとり、その名前もつまびらかに紹介されていて、よくも調べたものだと感心しました。

 それでも、戦争ばかり続く物語はうんざりします。もう読むのを止めようかと思う頃に、ひらりと英雄が出現します。沢瀬甚五郎は戦国武将ではありません。生まれは武家の出でも商人になります。世の中の成り立ちを冷静な目で見つめる姿に惹かれます。大名の得手勝手な思惑に引きずりまわされる底辺の人たちの悲哀を理解する心を持ち合わせている人物です。

 始まりと終わりに、(途中でも頻繁に)この沢瀬甚五郎なる人物が出て来て、小説をきりっと引き締めてくれました。


nice!(2)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。