本を一冊読み終わりました。 [雑記]
飯嶋和一の〝星夜航行〟です。
豊臣秀吉が朝鮮、明国に出兵した頃の、戦国時代の物語です。
関白秀吉の尽きることのない野望と妄想に引きずられるように、戦国大名が功を争って朝鮮半島に出て行く有様が詳細に描き出されています。またこの兵を迎え撃つ朝鮮と明国の将軍たちが一人ひとり、その名前もつまびらかに紹介されていて、よくも調べたものだと感心しました。
それでも、戦争ばかり続く物語はうんざりします。もう読むのを止めようかと思う頃に、ひらりと英雄が出現します。沢瀬甚五郎は戦国武将ではありません。生まれは武家の出でも商人になります。世の中の成り立ちを冷静な目で見つめる姿に惹かれます。大名の得手勝手な思惑に引きずりまわされる底辺の人たちの悲哀を理解する心を持ち合わせている人物です。
始まりと終わりに、(途中でも頻繁に)この沢瀬甚五郎なる人物が出て来て、小説をきりっと引き締めてくれました。
重松清を読みました。 [雑記]
最近、重松清の作品を読む場合が多いです。
重松作品には悪者が登場しません。
先ほど〝一人っ子同盟〟を読み終えました。主人公の小学生男子が、友人の女子小学生や低学年の男子小学生の心が成長していく有様を、細部にわたって観察している姿が描かれています。童話かな、と思われるほどに無邪気な部分もありますが、それだけではありません。周りの大人たち、つまり両親や近所の老人夫婦、友人の親たちなどの心をもしっかりと見つめているこの小学生は只者ではないな、と思わされますが、同時にこのような作品を書く作者も、只者ではないようです。
明けましておめでとうございます。 [雑記]
正月三が日もあっという間に終わったのに、明けましておめでとうもないものだ、とは思っています。
それでも去年は大雪の正月だったのに、今年は雪が積もってくれません。
除雪しなくて済むのでありがたいのですが、何か風情が足らない感じもいたします。近所の幼稚園児が、
登園前に雪玉を作っては投げ合っていた年を思い出します。
彼らはもう小学生になりました。耳まで隠れる帽子を被り、毛糸で編んだ手袋をつけて、うつむいた格好で
歩いていきます。
「いってらっしゃい」と、声には出さずに見送りました。