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亀山郁夫氏作の小説〝新カラマーゾフの兄弟〟上巻、下巻を読みました。

 これが日本の小説か、と思いました。日本人の名前がついている人物が日本の言葉ではない、どこかよその国の言葉を翻訳したような語り口でしゃべっています。日本の文章は、一文を読めばその行間に様々な思いが込められているのが推測できます。それがありません。必要もない場面を、これでもかという感じで述べ立てているから、これだけ膨大な上巻、下巻になってしまったのでしょうか。

 登場人物に魅力がありません。書き込めば書き込むほどに、薄っぺらい人間という印象しか感じられないのです。小説は、自分の好みだけを表現してできあがるものではないと思うのですが。

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浅田次郎氏の短編集〝月下の恋人〟を読みました。

 上巻、下巻に五編ずつの話が載せられています。

  情夜、告白、適当なアルバイト、風瀟瀟、忘れじの宿

  黒い森、回転扉、同じ棲、あなたに会いたい、月下の恋人

 それぞれが原稿用紙にして三十枚くらいの短編ですが、読み進めるうちに、自分は夢でも見ているのかと錯覚を起こしそうになってしまいます。現実とか常識とかいう言葉がどこかにふわふわ飛んで行ってしまいそうになりました。

 

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中島京子氏の〝長いお別れ〟を読みました。

 アルツハイマー症を病む患者がこの世から去るまでに十年かかりました。本当にタイトルの通り〝長いお別れ〟でした。

妻と三人の娘と孫たちが、同じ家で、あるいは遠く海外の地から見守っています。幾つかの話が短編風に分かれて語られていますが、それぞれが、ほっとするかじーんとくる気持ちが湧いてくるようにまとめられています。

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平野啓一郎氏の〝ある男〟を読みました。

 子供二人を持つ女性が下の子と父親を続けて亡くしました。小さな文房具店を営む彼女の前に実直な男性が現れて、再婚したのですが、この男性が事故で死んで、しかも名前が全く別の人間であることが判明します。

 弁護士城戸章良が探っていく目前を、自分の過去を消去する願望を抱く様々な身の上の男たちが二つ、または三つの名前を持ちながら、現れては消え過ぎて行きます。

 彼らの人生を目の当たりにして、城戸自身も自分の家庭を振り返ってみる辺りが、女性の読者の共感を呼ぶようです。

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ジョーダン・ハーパー氏の〝拳銃使いの娘〟を読みました。(鈴木恵訳)

 11歳の娘ポリーがギャングに母親を殺され、刑務所帰りの父親と共にギャングから逃亡する物語です。 

これは、終身刑囚が刑務所内から発する指令によって三人の命が狙われるという、摩訶不思議とも思われる話で、日本という島国で暮す者に、かつての西部劇並みに現実離れしてはいるが、わくわく感をもたらしてくれます。

 娘ポリーの成長していく姿と父親としての愛情が育まれていく表現がほほえましいです。同時に、ギャングのすさまじさとそれにも負けないほどの悪徳警官の存在がぞっとさせてくれます。ただ、若くて正義感の強い警官の姿も忘れずに書き添えてありますので、安心します。

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町田康氏の〝ギケイキ②〟を読みました。

 〝ギケイキ①〟は昨年読んだのですが、細かい部分は忘却の果てに沈んでしまったようです。

〝ギケイキ②〟も同じ調子で書かれているわけですが、町田氏の作品は八百余年の時を飛び越えて、

現代版の義経を描いています。義経が今生きていたら、確かにこんな風にしゃべっただろうな、こんな風に考えただろうな、と可笑しくもなり、納得もします。

 吉野の山で静が官憲に捕らわれてしまったところで②は終わっているので、必ず③は世に出されるのでしょう。早く出ないかな、と首を長くして待っているところです。



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町田康氏の〝猫のエルは〟を読みました。

〝猫のエルは〟という単行本は短編五編から成ります。

    ・  諧話会議

    ・ 猫とねずみのともぐらし

    ・ ココア

    ・ 猫のエルは

    ・ とりあえずこのままでいこう

 大人の童話なのでしょうか。猫と犬が入れ代わったり、人間が猫に変身したり、小鳥や蛙や虫が演説したり…

 これは小動物の心を分かってもらうための手段なのかもしれない、などと考えてみます。

 猫を飼ったことがないので、犬も。普段ペット嫌いを表明している身には、読み安くても近づき難い内容でした。

 

 

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池井戸潤氏の〝銀翼のイカロス〟を読みました。

 読んで、気分がすかーっとします。

 四年か五年前に出版された本です。大体どんな風に落ち着くかは想像できますが、最後まで読んで、この爽快感を味わいたいという欲望に押されて、一気に読み通しました。

 大活躍する半沢直樹は、すでに半沢直樹シリーズとして何冊か前の本で登場しているようなので、ここで人物表現はされておりません。例の半澤直樹が現れて…というところなのでしょう。初めて読むものには少し残念な思いが残ります。

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朝倉かすみ氏の〝平場の月〟を読みました。

 年齢五十歳になる元中学校同級生の恋愛小説です。それまでの人生で様々な経験をして来た男女が、それぞれの過去を乗り越えて、新たなる相手を求め合う物語です。

 自分のことは脇に置いて、密やかに相手の立場を思いやる姿は切ないものですね。

 それでも、人の思いがいかようであろうとも、この世にある限り、別れは容赦なくやって来るもののようです。

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〝大統領失踪〟を読みました。

第42代アメリカ合衆国大統領のビル・クリントンと世界的ベストセラー作家のジェイムズ・パタースンという二人の共著だそうです。これまでにこの人たちの著作を読んだことはありません。

ホワイトハウスの仕組みも、そこで働く人たちの役割も分かっていませんでした。またアメリカを取り巻く世界の国々が、この超大国にどう関わってきたのか、についてもよく分かっていませんでした。

それでも、元大統領がこんなスルリとサスペンスに富んだ作品を書けるものだな、と感心しました。いや、アメリカの元大統領だからこそ、こんな面白いものを書いたのでしょう。日本の元首相にはとても求められない傑作だと思います。

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