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平野啓一郎氏の〝ある男〟を読みました。

 子供二人を持つ女性が下の子と父親を続けて亡くしました。小さな文房具店を営む彼女の前に実直な男性が現れて、再婚したのですが、この男性が事故で死んで、しかも名前が全く別の人間であることが判明します。

 弁護士城戸章良が探っていく目前を、自分の過去を消去する願望を抱く様々な身の上の男たちが二つ、または三つの名前を持ちながら、現れては消え過ぎて行きます。

 彼らの人生を目の当たりにして、城戸自身も自分の家庭を振り返ってみる辺りが、女性の読者の共感を呼ぶようです。

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